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97歳にしてフォト・ジャーナリスト

 今日はここ一番なんとかがんばらんば!という日に、身体がどんよりと重たかったりすると困ってしまうのだが、そんな時私は冷蔵庫の奥深く秘蔵の○○○を取り出すと一気に飲み干す。○○○は普通の栄養ドリンクなのだが、リポピタンの何倍かのお値段のせいかどうかはわからないが実に霊験あらたかで、五分もすると身体が軽くなったような気がしてきて、さっ、こうしてはいられない!とテキパキと仕事ができるようになるという訳なのだ。

 さぁ、今日もヤクの世話になって一日しのぐか、と弱気になっているときに、ふとテレビで見たおばさまはなんと97歳。柔和な面差しのなかにも凛としたたたずまいが感じられて私は急いで名前をメモした。その人の名は笹本恒子。

 ネットで調べてみると写真集やら著書もいろいろあって、その中から『好奇心ガール、いま97歳』を読んでみた。もともと作家志望だったというだけあって、ユーモアもウィットもありかつ明快な文章だった。日本で初めての報道写真家として出発するものの一筋縄ではいかず挫折の連続。写真家として完全に復帰できたのは71歳のときだったという。そしてブレイクしたのはほんの数年前だ。

 私生活も波乱万丈。二度の結婚、真剣に自殺を考えたのが二度。家庭のことではずいぶんと苦労があったというが、そんなことはおくびにも出さず、心で泣いていても顔は笑顔で出勤。外に出るときはうんとおしゃれをして仕事をこなしたということだ。

 笹本さんは戦後すぐからジーンズをはき、それも腰ばき。ウエスト部分を切って自分で改良してはいていたのだそうだ。今はGAPのジーンズがお気に入りだそうなので、わたくしも(笹本さんはいつだってワタクシだ)こんどGAPに行ってヒップハングのジーンズを買うのだ!そういえばジーンズを買ったのはもう何年前のことだろう。

 笹本さんはある時から、誰にも自分の年齢を言わなくなったそうだ。76歳です、と言おうものなら、え~っ、そんな歳で写真撮れるのぉ~?といった反応が返ってくるので、一切口に出さない。それから自分自身でも自分の年齢を考えない。もう歳だから引っこんでいようなどと考えない。50歳にして、インテリアの教室に通ってパースの描き方を学んだという。大部分の人がリタイアしようかという時にも貪欲に学んでいるのだ。

 90歳のころ、ホームにはいろうかとも考えたけれど、その代わりにマンションを改装して、取材に出歩いたり料理をしたり、大好きなワインを楽しんだりと、悠々自適の日々だそうだ。目も耳も足腰も達者で、こんなふうに長生きできたらどんなにいいことだろう。介護されながら長生きしたってちっとも楽しくないではないか。100歳ちかくなってもジーンズはいて元気に過ごしている自分を想像したら、ちょっとばかり憂鬱が飛んでいったような感じがしてきたのだった。

 

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