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串を抜いてあげようか?

Pict0009  うちの下の娘は小さいころから愛想がよくない娘であった。親戚のばばさまなどから「おたくの○○ちゃんに会ったけれど、あっち向いてて挨拶しなかった」などと言われたものである。何故ちゃんとご挨拶ができないのだろう。むずかしいことではないのだ。この母のように、わ、うるさいばばさまが来た!と心の中で思っても、顔だけはにこやかに「おはようございます、今日はいいお天気ですね」と言えばいいのだ。

 それで娘に注意すると、ちゃんと挨拶した、と言うのである。まぁ、じゃ、それはタイミングが悪いんじゃないの?あちらがまだ遠くにいて、こちらに気がついていないときに挨拶してもわからないんだから、ちゃんと近くに来て、こちらを向いているときに 「おはようございます」と言うのだよ、、、とこまごまとこんな事をどれだけ言ってきかしたことだろう。

 今よりずっと若かった私は、ばばさまたちからクレームがくるたびに気にやみ、悩んだものだ。このあたりでは挨拶さへ人並みにやっておけば「なぎささんちの娘さんは実に申し分のない娘さん」で通るのに、だ。

 夫に、どうしてあの子は無愛想なのかしらねー、ほんとに世渡り下手なんだから、、、と言えば夫は言ったものだ。「気にしないでいいと思うよー、そのうち営業笑いでもなんでもするようになるさ。」 そして最近のことだが、夫の言っていたことが大当たりだ、ということが判明したのであった。

 娘は去年の春から社会人になり会社勤めをするようになった。暮れには我が家に帰省していたのだが、高校のクラス会があるというので、小さい頃から仲良くしている友達と出かけていった。その友達のママのKさんからあとでこんな話を聞いたのである。

 Kさんは言った。「うちの娘が言ってましたけど、おたくの○○ちゃんとっても変わったんですってねー。」

 「え~っ、どういうふうに変わったんでしょうかー?」と私は訊いた。Kさんが言うには、なんでもクラス会で、うちの娘はじつにフットワークよくてきぱきと動き、いろいろと人の世話を焼いていたそうなのである。そしてきわめつけは、友達に「食べやすいように(焼き鳥の)串を抜いてあげようか?」と言ったとのこと。

 それを聞いて私はアハハーと大きな声で笑った。Kさんも負けずに笑った。Kさんはうちの娘の人となりを小さいときから知っているので、笑う資格があるのである。うちの娘ときたら、人からサービスしてもらうのは当たり前と心得ていて、自ら体を動かし人様のお役に立とうとするなど、ちょっと信じがたい子だったのだ。

 あぁしかし、ありがたい事だ。親がどれだけ言ってもきかなかったのに、親の手の届かないところで、会社が世間様が社会の皆様が、娘を教育してくれているようなのだ。

 私は今でも時々この「抜いてあげようか?」を思い出すとおかしくなって、一人でクククと笑ってしまう。けれど昨夜テレビで、養老猛司さんが言っておられたが、小さいころ近所の人に挨拶することがどうしてもできなかったのだそうだ。人にはそれぞれに理由があるのかもしれない。

 近くの通学路に立って登校していく子供たちを見ていると、元気に挨拶する子もいれば、下を向いて恥ずかしそうにして通り過ぎていく子もいる。子供が明るくさわやかに挨拶してくれると、晴れやかな気持ちになっていいものではあるが、子供なりにあいさつができない理由があるのかもしれないと思ったことだった。

 

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家族」カテゴリの記事

コメント

うんうん、
今日はとても深いお話ですね。
社会に育てられたと言えば、この私だってその典型だと思います。
所帯を持つまでご近所の人とちゃんと挨拶を交わすなんてしてなかったですよ。
商売を始めて地域の人達との交流が増え、次第になんとなく挨拶ができて普通の大人っぽくなってきました。
ほんとだらしない人間だったんですわ(^^;

投稿: 便利屋 | 2010年1月19日 (火) 14時56分

便利やさま

“深いイイ”話でしたでしょうか?そう言っていただくと安心します。
うちの次女のことを書いたものの、どうかなー、あの子が傷つくかなー、といろいろ思い、長女にまず読んでもらいましたら、いいよ いいよとゴーサインがでました。

次女のことは、こんなに愛想悪くてどうするのだろう、と心配してましたが、入社試験では何回もの面接をクリアしたのですから、出るところに出れば愛想よくしてたんでしょうねー。「あたしって面接でなぜか好かれちゃったのよね~」などと言ってましたから。

投稿: なぎさ | 2010年1月20日 (水) 08時08分

こんにちは^^
今回のお話で、
子供の頃の私が写っている写真を思い出しました。
大好きな人と写っている写真は笑顔なのに、
そうでもない人だと不機嫌な顔をしている。
こどもって素直なんだな、と思いました。
大人になると、小さな嘘が上手になる。
恋をしても女は変わるものですよね。
娘さんの場合は、
小さな嘘ではないと思います。
何かが変わったんでしょうね・・・

投稿: さくら | 2010年1月23日 (土) 03時56分

さくら様

うちの娘もつとめにでるようになり、会社の下っ端で
右往左往するうちに、いろいろと鍛えられていったのだと思っています。

子供のことに関しては、たいていのことはじーっと“待つ”ほかはないようですね。人との出会いや環境が人を育ててくれるのでしょうねー。

投稿: なぎさ | 2010年1月23日 (土) 12時49分

あはは・・・私も挨拶が嫌いでした。
変にすれた子供で、近所の声のでかい、
うわさ好きのずうずうしいおばちゃんたちが
嫌いでした。
でも、社会に出たら、勿論そんなの通用しなくて、
その嫌いなおばちゃん達にがんがん鍛えられました。
今では声のでかい、うわさ好きで図々しい立派な
おばちゃんになりました。

投稿:  ジャスミン | 2010年1月26日 (火) 12時44分

ジャスミンさま

子供心ってなにかと複雑ですよね。大人はいい子でいて欲しいと思うものなんですけど。

うちの娘もその内、我が娘に「どうしてごあいさつ、シャンシャンできないのっ!」と叫ぶようになるでしょうねー^^

投稿: なぎさ | 2010年1月27日 (水) 08時39分

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