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神は細部にのみ宿る

Pict0131  “神は細部に宿る”という言葉に出会ったのは二年前くらいだろうか。台湾からやって来た金美麗という人が書いていたのだが、『神は細部に宿ると申しますから、日常生活の些細なことも大切にして生活しましょう』と言っていた。

 次にお目にかかったのは新聞記事なのだが、ある日本の建築家が外国のある美術史家と対談したとき(例によって切り抜きがすみやかに出てこないので、はっきりした名前がわからない) 二人は“神は細部にのみ宿る”ということに見解の一致をみて、大いに話が盛り上がった、というものであった。

 さてそれだけでは具体的にはどういうことなのかわからない。それはおそらく、キリスト教的な発想であろうと思っていたところ、ある日のこと、きれいな身なりをした女の人が二人、我が家の玄関に立ち言った。

 「私たちは聖書のことをもっと広く皆様に知っていただくために、こうして家々を回らせていただいております」 それは日頃の懸案について意見を伺うちょうど良い機会だったのだが、タイミングがじっつに悪かった。 

 それはお昼の12時前であり、台所ではうちのおかあさまが早くから「今日のお昼ご飯は何?」といってテーブルで待機していたのだった。 そんな焦っているときに、“神は細部に宿る”とはどういう意味でしょう?などとのんきに質問している訳にはいかない。申し訳ありませんが、ただいまちょっと急いでおりまして、とお帰り願ったのだった。

 ある人はそのことに関してこんなふうに言った。後世に名を残すような偉業を成し遂げた人、というのは誰でも賞賛するものだが、名を残さなくても世の中の片隅でコツコツと世のため人のために働いている人も神はちゃんとご覧になっているのだ。神は隠れた所にいて、隠れた所を見ておられるのだから。

 さて私は今のところは“神は細部に宿る”という言葉についてよくはわからないでいる。しかしながら、めんどうな、ややこしくて楽しくなくて骨が折れる仕事がある時、ほんとうはしたくないのだ。 けれどもそこに神様が宿ってござるのであれば、やらずにおくわけにはいかない。

 ではいっちょう気合を入れてやることにするか、と自分のお尻をたたいてやりだすときの呪文に“神は細部に宿る 神は細部に宿る”と唱えることにしているのである。

 

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手でアイロンを

Pict0148 ある朝のこと、洗濯物を干していると、ご近所のおばば様が手押し車をおしながらやってきて、それに腰かけると、私が乱暴にバサバサと(はやければいいのだ)干すのをじっと見ていた。

それからおもむろに言った。「私はね~、タオルなんかは縦に伸ばし横に伸ばし、パンパンと叩いてキチーンとたたんでから干したものでしたよー。それからね、息子達のカッターなんかもね、広げて皺をのばし、手でアイロンをかけて干したもんです。それで皆さんが私の洗濯物を見て“○○さんの洗濯物はいつ見てもきれいですねー”と言われたもんですよー」と誇らしげに言うのだった。

お言葉ですがワタクシ、手でアイロンしなくちゃいけないものなんか干していません。たかがタオルを、なんでそんなに手間ヒマかけて、叩いたり伸ばしたりしなくちゃなんないの。手や顔を拭くだけでしょうが。それにカッターなどは形状記憶になっておりますのよ。と私は言いたいのだがガマンガマン。

かわりにこのおばば様を褒めたたえることにした。じっさいのところ、このおばば様のうちは食料品店を経営していて、大変に忙しいうちであったのだ。「ふつうのうちの三倍も忙しかったのに、ていねいな暮らしぶり、誰にもマネをできないことをよーくやってこられましたねー!」

そんな話をやっとのことで終わって家にはいると、お姑さまが言った。私の若いころはねー、川に洗濯に行ったものですよ。水が冷たくてねー。手がちぎれるくらいに痛かったもんです。(それにくらべると、この頃の若いもんときたらー、、、)

考えてみると、洗濯に関して、女たちの世代間の思い入れはずいぶんと落差があるものだ。電気洗濯機もずいぶんと進化した。小さいころ、家に初めて洗濯機にローラーがついたものがやってきたときのことを思い出す。それに衣類を挟み込みゴリゴリまわしながら脱水するのだが、欲張ってたくさん挟めばこれはなかなか動かず苦労した。急がば回れ、で少しずつはさめばいいものを、どっさり詰め込んで大汗をかいたものだ。

この頃では乾燥機がついたものが主流だという。ところがある若い人が、(実は我が娘なのだが)ウールのセーターをうっかり洗濯、乾燥してしまい、縮んで小さくなってしまったそうだ。それは知人の小学一年生の娘さんに差し上げたら喜んで着てもらっているそうである。それはそれでいいのだが、なんとまぁ迂闊なことよ、と私などは思ってしまう。もっとしっかりしなさい!と喝をいれたいのだが、時すでに遅し、、、だ。

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