三人の殿様に
長男が家に戻ってきてくれたのは喜ばしいことであったが、三人だったのが四人に、家業も二つという状態になると、私の賦役も大幅に増えて、なかなか忙しい日々を送ることになった。
久しぶりにKさんと出会った。Kさんは我が家から二番目に近い隣人である。一人暮らしということもあり、到来物のおいしいものなどがあるときはKさんの所へ持って行き、20分ほどはおしゃべりを楽しんだものだった。けれどもこの頃ではそんな時間もなくなっていた。
私はKさんに言った。「この頃ぜんぜん余裕ないんですー」するとKさんは言った。「そうでしょうよ。なぎささんは三人のお殿様に仕えているんですもの、忙しいはずですよ」
え?三人の殿様に? そう言われてみると、、、。そんな気がしてきたぞ。三人が暴君だというわけではないが、有言無言の要求、強制によって、したくもないことをしていることは多々あるのだ。
たとえば、「今日はトーストとコーヒーだけでいいんじゃない?」と私自身は思う日でも、旅館で出されるようなヘビーな朝ごはんを並べざるをえない、ということもあるし、磨きたくもない鍋の底をみがく、ということもしょっちゅうなのだ。
そうなんだー、今まで気づかなかったけれど、わたしって三人のお殿様にお仕えしてたのね、かわいそうななぎさちゃん!
それで私は夫に言った。「今日、Kさんに会ったんだけど、なぎささん、三人のお殿様に仕えて大変でしょう?って言われたのよー。それからね、(これより先はなぎさの創作)このあたりで、なぎささんほど朝から晩までよく働く人はいないと思う、って言ってた。ホントに世間さまってなにもかもよくご存知なのねー」
それを聞いた夫は言った。“自分は一度として、お殿様のように仕えて貰った覚えはない。それどころか、じゃじゃ馬の女房のご機嫌をとるために、朝から晩まで、馬車馬のごとくに働いておる”と、まぁこんなふうに言ったのですね。
それを聞いて私はへーっと驚いた。現象は一つなのにどうしてかくも主観に落差があるのだろう。私は滅私奉公してるつもりなんですけど。ぶー。
そういうオソマツなやりとりをしているころ、私は天皇皇后両陛下の記者会見をテレビでみた。両陛下は物静かに、かつにこやかに、感謝状をおたがいにやりとりなさっているのだった。
皇后様などは「これだけでは足りないような気持ちがするのですが、このたびも感謝状を」と限りなく謙虚でおくゆかしくいらっしゃる、、、。 つづく
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コメント
なぎささん次なるストーリーが控えているのね。後があるのね期待してますよ。 わたしも言われて見れば、幾人の殿に仕えてるだろう。現代の殿はみな優しく男女区別が無く凛とした所に欠けどんなもんかと思うのだが
なぎささん板についたいい奥様で物腰低く賢い人と思います。さらりと受けてたつ主人もなかなか…世の中いろんな思いが違うから、疲れない殿にめぐり合いたい。相手に、気を使わせる殿にもモノ申したい。控えよ殿!
投稿: | 2009年5月 1日 (金) 12時23分
ウフフ
結局「ありがとう」って感謝の言葉だけで済ませた方が、
相手も「ありがとう」って言ってくれるのかもしれませんね。
そういえば結婚して26年の私は、
ズ~っと「ゴメン!」ばかり言ってきたような・・・(^^;
投稿: 便利屋 | 2009年5月 2日 (土) 10時58分
若葉はみどり様
勝手にみどり様と呼ばせていただきますよ^^
さて我が背の君はですね、女房の書いているブログを
読んでいるはずなのですが、読んでないフリをしてくれているんですよ。読んでる、と言えば私が萎縮するからでしょうね。
それをいいことにこの頃では言いたい放題、イエ書きたい放題か。ほんとに心やさしいだんな様なのですー。心から感謝状を差し上げなくてはー!
投稿: なぎさ | 2009年5月 3日 (日) 14時34分
こころにもなく「ゴメン」を言い続けている便利やさまへ
私は聞いたのですが、心はゼンゼンこもってなくていいそうなんです。
笑顔で、口先だけで、ありがとう、感謝してるよ、君って素敵だね、今日もきれいだね、etc、、、なんでも口に出して言いさえすればそれでOK.世の中回っていくそうですよ。
なぁんだ、そういうことだったのかー、早く教えてくれればよかったのにー。
投稿: なぎさ | 2009年5月 3日 (日) 14時45分