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春の風のように

012 30数年前、五島へ来た頃、近くに90歳を過ぎてもなお「この家ではワタシがタイショ(大将)」といってはばからない豪気なばばさまがいた。もう何十年も息子夫婦の庇護のもとにあるのだから「ワタシがタイショ」もないと思うのだが、なんだか知らないけれど一人で威張っているばばさまだった。

そのうちのお嫁さんという人は、もと先生だったので、私たちは「先生」と呼んでいた。笑顔でいそいそとよく働き、ばばさまがどんな嫌味を言っても辛らつなことを言っても、柳に風と受け流し、口でも顔でも反発してみせる、ということはなかった。それを見ていて、私はよく “気に入らぬ 風もあろうに柳かな” という川柳だか都々逸だかを思い出したのだが、先生のまわりにはそよそよと春の風が吹いているかのようだった。

ある日のこと、私は用事があって先生のうちへ行きあがりこむと、ばばさまがコタツでうたた寝をしているのを見た。それに気づいた先生は、つと立ち上がると奥へ行き、ばばさまのはんてんを持ってくると、やさしく肩にかけてやったのだった。いつも理不尽なことを言っては先生を困らせているばばさまなのに、先生はそんなことを気にしているふうはなく、徹底的にばばさまに尽くしているのだった。

私はほかの人から聞いたのだが、このばばさまは最晩年、先生のうしろ姿を手を合わせて拝んでいたそうである。死ぬ日まで口の悪かったばばさまだけれど、先生の真心はしっかりばばさまの心に届いていたのだろう。

生きた観音菩薩さまみたいな先生のすることなすことを、いつも見ていたのだけれど、私はちっとも先生みたいな心優しいヨメにはならなかった。したがってうしろ姿を拝まれる、、、というようなこともないであろうなぁ~と思われる。

私のヨメ友達もみな、「先生は偉かったねー、でもああいうふうにはなれない」と口々に言い合っている。なれないはずだよね、だって先生は観音菩薩さまの化身なんだから、、、。今、先生はF市に住む息子さん夫婦のところで幸せに暮らしていらっしゃいますよ。

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嫁と姑」カテゴリの記事

コメント

私の舅も、美大教授退職後、101歳まで長生き。
99歳までは絵筆を離さず、私には優しかったのに、兄嫁にはいつも命令的な口調でした。

私は優しくされるほどに、兄嫁の手前、肩身が狭かったのですが、兄嫁はニコニコして舅に尽くしてました。

舅が最後の頃に、頭が幼児返りしてきたら、兄嫁を「母さん、かあさん」と呼んで、ちょっと姿が見えなくても騒いでいました。

私には計り知れない絆があったのだろうと思ってますが・・・。

投稿: ば~ば | 2008年3月22日 (土) 10時11分

自分の友達に同じ様な人いるの。その繁子さんは、逆らえない性格もあり良く尽くすのね。いつもは、無口の舅さん、正月には決まって自分の嫁と小姑を、並べて”繁子さんのお陰で家は平穏だから繁子さんを、いたわる様に”と正月にはいつも大岡さばきをして、励まされたそうです。大将婆さんも、黙っていた。その舅も逝ってしまい、来年から誰が口上を言うだろう。ウフフ・・・だって!息子夫婦同居も、また楽し かも!しかし口悪ばばさまがいれば、嫁として精神的疲れるほうが当たり前、観音菩薩には、なれません。たいがいぶんに、開放してよ。と私は言いたい。嫁が強くて姑が怯える昨近貴重な主婦では居たい・・・・心中思う。少し話題ずれ暗い。ターサ

投稿: | 2008年3月22日 (土) 12時04分

嫁に意地悪し、嫌味ばかりのイケズの姑も、最後の時には、「○○子さん、大変お世話になりました、、、有難う」と涙を浮かべておっしゃると、よく聞きますが、、、
うん十年の恨み、つらみも、最後の一言でチャラ!
しかし、出来すぎたやさしい嫁、、一方では、どこかで爆発、超切れするのではないかと、いや、どこかで何かに、誰かに、、、夫? 八つ当たりしてバランス取ってるんじゃないか、、とふと不安になって、逆に姑に気を遣わすのではないでしょうか。

投稿: ナベショー | 2008年3月25日 (火) 10時37分

世の中やさしくて心が広い人っているもんなんですね。
私はいつもなぎささんの後姿に手を合わせてますよ~(^^)v

投稿: 便利屋 | 2008年3月26日 (水) 19時40分

うーん。
私もなれない。

なんだかいい話にほっとしました。

投稿: frusic | 2008年3月30日 (日) 16時26分

ばーば様

そうなんですねー。家の嫁は身内だけれど、次男、三男の嫁はよその嫁みたいなものかもしれませんね。身内だから遠慮がないということかもしれません。

兄嫁さまも観音様の化身だったのかも?

娘と赤ん坊を連れて帰ってきました。我が家も休火山みたいだったのが、にわかに活火山みたいに活気がでまして、、、家の中、片付くことがありません。

投稿: なぎさ | 2008年4月 6日 (日) 07時35分

ターサ様

古代の昔から、女は耐えて待つものでありました。子供が大きくなるのを待ち、親が死ぬのを待ち、夫が死ぬのを待ち、それからやっと解放されたのでありました。今や、待つ女は少なくなりました。

それがいいことなのか、悪いことなのかも、、良くわかりませんね~~!

投稿: なぎさ | 2008年4月 6日 (日) 07時38分

ナベショーさま

終わりよければすべて良し!ということでしょうか?
たいていのことはチャラになるんだったらその線でいくとするか、、、。

俗に、姑さんが妙にやさしくなったりすると、ご臨終が近いんじゃないか、ってよく言いますよね~~^^

投稿: なぎさ | 2008年4月 6日 (日) 07時43分

便利やさま

なぎさめを拝んでくださっても、なんのご利益もありませんので、拝まなくて結構でございますよー^^

でもほんとうに、ワァ!と思うくらいの良くできた人って、これがいますのよねー。私もそういう人、拝んでいますよ。

投稿: なぎさ | 2008年4月 6日 (日) 07時48分

frusicさま

この“先生”のことはいつか書きたいと思っていましたので、春の嵐が吹いたついでに書きました。

歴史に残るような立派な人はもちろんエライですが、市井のふつうの人の中にこういう立派な人もいるのですよね、人格者だと思います。

投稿: なぎさ | 2008年4月 6日 (日) 07時53分

なぎささ~ん!
どうしたの?
お元気してますか?

投稿: 便利屋 | 2008年4月16日 (水) 17時51分

娘さんの産後の回復は順調かと思ってます。

ちいちゃなお孫さんに振り回されてるんじゃないですか・・・。
頬が緩みっぱなしのなぎささんが想像できるわぁ。

先日(17~18日)に静岡のナベショーさん宅で
ご馳走になってきました。
今度は一緒にいかが~?

投稿: ば~ば | 2008年4月25日 (金) 13時10分

なぎささ~ん
元気??
赤ちゃん、もうだいぶ大きくなったでしょうね。

京都に送って行ってるの。

投稿: ば~ば | 2008年5月 9日 (金) 10時22分

ナギサテスト

投稿: なぎさ | 2008年5月21日 (水) 16時14分

テストは大丈夫みたいっすよ~!

投稿: 便利屋 | 2008年5月29日 (木) 09時50分

便利屋さま

はーい、地の底にしずんでおりましたぁ!
いろいろなことがいっぺんに立てあってきて
身もココロもアタマもいっぱいいっぱいでした。

それにパソコンも文字お化けみたいのがエンドレス
にでてきたりして。

もう少ししたら落ち着くと思いますのでまた
よろしくお願いしますねー^^

投稿: なぎさ | 2008年6月 3日 (火) 20時32分

ばーば様

ご無沙汰しましたねー。お便りありがとうございました。人生最大の、とは言わないけれど、とっにかく忙しくしていました。

この二ヶ月ほどは、新聞も読まず、家計簿もつけず、本一冊も読まず、ただ、十年連用日記だけは眠りながら書きました。(昨日のことはもう思い出せないものですから)

私の唯一の社会の窓ブログをのぞく気にもなれませんでしたが、これからは時間の配分もよおく考えてまたいろいろ書いていきたいと思っています。

ムスメもマゴも元気です。長男も帰ってきて、こちらでビジネスをすることになりまして、家もにわかに賑やかになりました。

投稿: なぎさ | 2008年6月 3日 (火) 20時46分

ありゃま!
なんだか大変だったんですね・・・。
もしやご病気?なんて心配してましたよ。
お待ちしてますからね~!

投稿: 便利屋 | 2008年6月 5日 (木) 10時35分

便利やさま

3ヶ月もブログから遠ざかっていたので、もうアタマの働きが鈍くなってしまったような気がしています。
復帰できるかなぁと心配になりました。

でも嬉しいことに隠れファンがいてくださるようなので、なぎさめといたしましては、また書きたいと思ってますよー^^

投稿: なぎさ | 2008年6月19日 (木) 22時42分

便利やさま

3ヶ月もブログから遠ざかっていたので、もうアタマの働きが鈍くなってしまったような気がしています。
復帰できるかなぁと心配になりました。

でも嬉しいことに隠れファンがいてくださるようなので、なぎさめといたしましては、また書きたいと思ってますよー^^

投稿: なぎさ | 2008年6月19日 (木) 22時43分

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