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千の風になって

_059このごろ巷じゃ “千の風になって”という曲が大ブレイクしているんだよ、とムスコが教えてくれたのは随分前のことだったがなかなか聴く機会がなかった。このたびCDを送ってくれたのでひたすら聴くことにした。これはとてもいい曲なのだった。

かけがえのない愛する人を亡くしてしまった人々にとって、この曲は大きな慰めと癒しを与えてくれたことであろう。私は死んでお墓に眠ってなんかいないんだよ、千の風になって、光になって、雪になって、鳥になって、星になって、いつもあなたのそばにいて見守っているんだよ、とメッセージが届いたとしたら、喪失感に打ちのめされていた人にも生きる勇気を与えてくれたことだろう。

私は先日、夫を亡くして5年ほどになるKさんと話をした。亡くなった時夫はまだ52歳の若さであったという。kさんは3年間というもの毎日まいにち、お墓へ通ったそうである。雨の日は傘をさして、風の日にもみぞれの降る日にも通いつめた。夫が大好きだったビールの500ml の缶を、飲みやすいように蓋を開けて 墓前にお供えした。(いつの頃からか、、、、だんだん勿体ないような気がしてきて、今では100円のビールをお供えしているそうである。) そして3年たった頃からあまりにお天気がひどい時には行くのはやめようか~、というふうになってきた、と言っていた。

Kさんは、夫はずっとそばにいてくれているような気がしていた、と言った。けれどもどうしてもお墓に行かずにはおれなかったのだった。それからこんな事も言っていた。これまで70歳や80歳になっても二人そろっている老夫婦や、自分と同年代の夫婦、そういう人たちを見るとどうしてもユルセなかったと。けれどもこの頃になってやっとユルセルようになってきたのだと言った。許す、という表現をKさんはしていた。

5,6人集まってよもやまの話をして楽しむことがある時、「うちのダンナときたらねー」と、自分の夫のワルクチを披露することはよくあることである。このあいだも、35年の結婚生活の中で、夫がゴミ出だしをしてくれたのはたったの2回で、それも200メートルほど歩いて持っていっただけ、もうナーンニモしないんだから、、、と話した人がいた。夫が昼間から酔っ払ったら最後、てこでも動かずもう仕事にならないとぼやいた人もいた。

そういう話をKさんはどんな気持ちで聞いていたのだろうかと今になって思う。彼ったらね~!とオノロケを聞かしたわけではなく、自分の夫のワルクチを言ったのだから別段悪いことをしたのではないけれど、Kさんにしてみればゴミ出しをしない夫だろうが、昼間から酔っ払う夫だろうが、そこにいてくれればそれでいいじゃないの、と言いたかったかもしれないのだ。

けれどKさんはいつもにこにこして話を聞いていた。ほんとうはユルセなかったかもしれないのに、そんなそぶりは全然見せなかったのだった。

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夫と妻」カテゴリの記事

コメント

Kさんの姿に母を見ます。
私の父も50歳で急逝、その時、母はまだ44歳でした。
私たちが巣立ち、一人で暮らすようになって「公園などで、夫婦が日向ぼっこしているのを見るのはイヤ」とか「デパートに行っても、傍で夫婦が相談しながら買い物をしていると寂しい」なんて言ってましたね。
しばらくは、出歩きたがりませんでしたが、自分で本当に高齢者になって、周囲に“一人身”が多くなってきてからは、友人もできて、老人同士で旅行したり楽しんでいました。
いま、寝たきりで、弟夫婦と一緒ですが、平和な穏やかな笑顔です。

投稿: ば~ば | 2007年3月19日 (月) 10時34分

PS/私達夫婦は、10年前に揃って献体登録しました。
献体後は合同墓地に・・・と決めています。
娘や息子には、その時から「どうせ死んで焼いたら土と同じ、無機質なものに魂は無いのだから、それぞれの心の片隅に住まわせてね」と言ってあります。
《千の風になって》の歌を聞いて、娘や息子は「これは親父やお袋と同じ考えだね」と言っています。

投稿: ば~ば | 2007年3月19日 (月) 10時40分

ばーば様

受け入れがたい現実を受け入れるまでには時間が
かかるということですね。

Kさんも今ではダイビングを始めたりして、いろいろ
チャレンジしてますよ。

献体なさるのですね。死してなお人様のお役に立つのは
素晴らしいことだと思いますが、では私も、、、
とは決心がつきません、うーんと時間がかかりそうです。

投稿: なぎさ | 2007年3月20日 (火) 06時25分

夫を亡くしたKさん、、夫が亡くなるのが若すぎるから、無理もないだろうな~
60歳で夫を亡くして、85歳まで一人で生きる妻、、と言うのは多いですね。
老後の人生も、死ぬまでにいろいろんことを体験するんですね~
畑して、お茶やって、庭して、料理して、ブログして、、、だけで平凡に過ごさせてはくれないでしょうね、、
癌と脳梗塞さえ無事にパスすれば、80歳くらいは生き延びるかな、、、後は映画ゴッドファーザーみたいな最後が理想だな~
このお正月、家族全員集まった時、孫達と遊んでると、子供達が言いよりました。
「お父さん、今晩あたり危ないよ!」って。

投稿: ナベショー | 2007年3月20日 (火) 23時10分

そうですね
死んじゃったらその人はお墓なんかにはいないと思います
みんなの心の中、そして自然の中へ戻って行くのかな・・・
自分が自然の中へ溶け込むと思えば、死ぬことも怖くはないですね

投稿: 便利屋 | 2007年3月21日 (水) 15時41分

ナベショーさま

子供って、まったく、タイムリーに辛らつな事、言ってくれるもんですね!!(ふか~く傷ついていらっしゃるのではないかと、、、)

60才までは何かと身も心も忙しかったことでしょうが、これからが
人生の本番、お楽しみはこれからだい(^^)v!前向きに生きましょう!

投稿: なぎさ | 2007年3月21日 (水) 19時15分

便利屋さま

広い世界の中には肉親があの世に旅立った時でさえ、「これも神の思し召し~」といってあっさりと風葬にしたまま(つまりほったらかし)、そんなには悲しんだり嘆いたりしない人々もいるそうです。

そういう境地になれたらいいですね。

投稿: なぎさ | 2007年3月21日 (水) 19時25分

私も聞いてみます^^

投稿: かんころ | 2007年3月22日 (木) 19時49分

かんころさま

はい、是非、聴いてみてくださいませ。いい曲ですよ^^

投稿: なぎさ | 2007年3月23日 (金) 09時02分

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