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救急車を呼ぶときは

二年前の今日という日は思い出深い日である。その日はオットは留守でハハもまた留守で、家には私と高校三年生のムスメがいた。

夕飯が済んだ後、私は食べ頃をすぎてクタッとなりかけたバナナを見て、バナナケーキを作ろうと思い立った。オーブンで焼きながら皿茶碗を洗い、のちにテレビを見ながら大量の洗濯物をたたもうではないか、というつもりだった。

エンゼル型二個にタネを流し込み、オーブンに入れスイッチオン。これから洗いものをしようぞ、というときに、何故か頭がフラフラしてきた。あれーっ、心の臓もバクバクしてきたぞ。ウゥ!吐き気もしてきた!

私は受話器をもつとヨロヨロと歩き、押入れの戸を開けて、ずるずるとふとんを引きずりおろし、お手々はバターでヌルヌルのまま横たわった。さぁ、どうしたらいいのだろう?心筋梗塞か脳梗塞を起こしかけているのだろうか?

救急車を呼んだほうがいいのかなー。しかし私はその時はっきりわかったのだが、人はほんとうに具合が悪いときには、電話で助けを求めることすらできないものなのである。二階にはムスメが大音量でなにやらやかましい音楽を聴いているのだが、ムスメにちょっと来て!と言うことさえできずにいた。

救急車に来てもらうにしても、、、と私は思った。台所は混沌として皿茶碗、ベトベトのボールなどが流しの中にてんこ盛りであるし、居間にはたたむべき洗濯物が三山ほどもある。それに私ときたら汚い格好で河岸のマグロのごとく転がっているのであるから女の美学が(!)、、、どうしても抵抗するのであった。救急車に来てもらう時は、家の中は整然と片付いてあらまほしきものである。

それからまた思った。もしかしたらこのまま死にゆくかもしれないのだから、その前にオットにひと言ごあいさつをした方がいいのではないだろうか。「長い間お世話になりました、有難うございました。あとは良きように計らってください、、、。」

それからやっとのことでオットの携帯に電話した。「なぜだかわからないけど具合悪いのよねー。救急車に来てもらおうと思うんだけど、家の中があんまり散らかってるからハズカシクテ、電話できないの」

オットは最愛の妻の、(かどうかは確認していないのだが)一大事だと聞いて急ぎ博多港から五島行きのフェリーに乗ることにした。そして私はといえばそのあと眠り込んだらしいのである。そして翌朝ふつうに眼が醒めた!

わ~よかった~生きていて! それに救急車なんか呼ばずにすんでよかった! それにしてもどうして突然あんなに具合が悪くなったのかしらね。

あとでムスメが言っていた。お母さんが死んでもあまり困らないけど、お父さんに死なれたら困るな~、と思ったと。せっかく受験勉強してるのに、学資が無くなったら自分の夢のキャンパス・ライフがおじゃんになる、と思ったらしいのである。  ったくもう、ムスメもムスコも育て甲斐がないとはこういうことかしら?

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親と子」カテゴリの記事

コメント

私も更年期障害がひどく、しかも低血圧と貧血があり(いまもです)、よく倒れました。
外出先だと、行きずりのどなたかが、救急車を呼んでくれます。でも、救急車が着くころは、気が付いているの・・・それでも、否応なく運ばれました。
結石の時は、痛みに耐えかねて、自分で救急車を呼びましたが、部屋の片付けより、先ずは這ってでも玄関の鍵を開けておかないと・・・、「一人でいる人が救急車を呼んでも、鍵が閉まっていて、私達が助けるのに時間がかかることが多いのです」と、玄関の鍵を開けた途端に気を失っていた私は、隊員に誉められました。
家の戸締り、火の始末、身内への連絡と隣家への報告などは、隊員が全部きちんとやってくれます。

投稿: ばら色婆ァバ | 2006年10月23日 (月) 10時54分

救急車に乗るのはベテランのばーば様へ

そうなんですよ。実は私もずーっと玄関の鍵のこと考えていました。とても玄関まで這っていくことできませんでした。その他の窓も全部うちからロックしてますしね。

一箇所ガラスを割らねばならないだろうと思いました。けれどその散乱したガラスは誰が始末してくれるのだろうか、とか。

これからは隣家に鍵を一本預けておこうと、その時は思いましたが、元気になったら忘れてしまいました。

投稿: なぎさ | 2006年10月23日 (月) 11時19分

よくぞ 生きておられました!
海でおぼれかけても助かったし、、、よほど運の強い星のもとにお生まれになったのですよ!
18年間単身赴任してたけど、両手で数える以上の単身者が社宅やマンションで誰一人気づくことなく、、、、
朝になり会社へ出てこない、、、妻のもとに帰宅するはずが、、、

投稿: ナベショー | 2006年10月23日 (月) 22時28分

ナベショーさま

生きておればこそ、ナベショーさまと天下国家を、、、論じる前にこうして、どうでもいいようなことどもについてお話できるのは、有難いことだと思いおりまする。

そんなに沢山の方々が一人で亡くなっていったのですね。それは尋常な数字ではないような気がします。

投稿: なぎさ | 2006年10月24日 (火) 00時20分

単身社宅には、枕元に延長コードの着いたアラームボタンが設置されてました。
尋常な数字ではないのでしょうが、、そのうちの半分くらいは、自ら、、、
ほんとに生きておればこそ、、有難いことです。

投稿: ナベショー | 2006年10月24日 (火) 23時28分

僕は生まれてこのかた、救急車なるものと、縁がなく、一度も乗ったことも、のせたこともありません。
ただ昔、一度だけ、友達の、消防士に、そーっと来てと頼んだら、必ずサイレンを鳴らす決まりになっているからと、言われたことがありました。
これからも縁がない人生でありたいですねぇ
だって、しょっちゅうよんでるひとも、いますからねぇ

投稿: 石鯛君 | 2006年10月25日 (水) 08時14分

以前ブログにも書きましたけど(2月20日)
私も死にかけて救急車で運ばれました
後で看護婦が言ってたんですけど、
一目見て「手遅れだ」って思ったそうです
運ばれる所を子供たちに見せたくなかったもんでギリギリまで我慢してたら
救急隊員が到着した時にはほとんど死んでましたわ(^^;
お互い変な我慢しないで救急車呼びましょうね!

投稿: 便利屋 | 2006年10月26日 (木) 21時55分

ナベショーさま

高度に文明が発達することがはたして、いい事だか悪いことだか、分からなくなることありますね。
その日の糧を得るのに一所懸命でハングリーだった頃は、誰も自ら命をを絶とうとは思わなかったのではないでしょうか。

お祝い事で出かけておりました。昨日の夜は土曜ドラマを見て、次に寅さんを見てしまいました。今日は芋ほり!でした。

投稿: なぎさ | 2006年10月29日 (日) 18時54分

石鯛君さま

私は二度、救急車を呼んだことありますよ^^
なんだか興奮してしまって、向こうから尋ねられていることにまともに返事できなくて、トンチンカンなこと言ってましたっけ。

三度目はダイジョウブかな?

投稿: なぎさ | 2006年10月29日 (日) 18時58分

便利屋さま

変な我慢ですね~。ほんと、家の中が散らかってるとか、そんなこと結構気にしてるものなんですよね。

たんすの中や机の中がひっくり返っているから、まだ死ねない!と思っていますねー。

2月20日分の記事をあとで読ませていただきます。

投稿: なぎさ | 2006年10月29日 (日) 19時03分

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