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ある夏の日の思い出

_016_1 これは身も心も焼き尽くした、ひと夏のアヴァンチュールの恋の、、、などでは全然なくて、なぎさが4年前の夏、海で溺れて死にそうになったお話である。

その年の夏はなにかと忙しく来客、(しかも泊り客)も多く、私は民宿のおばさん並みには忙しくしていた。這いつくばって草を引き、ガラスを拭き、本来、光っているべきものは磨き上げ、玄関に花など活ける、ビールを冷やす、スイカも冷やさねばとてんてこまいの忙しさ。

客が来る当日ともなれば魚市場に出向きあれこれ魚をみつくろい、魚ばかりではよろしくないと思えば普段は買いもしない五島牛など調達して、と三度のご飯と二度のおやつに翻弄されておった。

はぁ~、やっとお客も帰ってくれたね~、ちょっと海につかりに行こうかと相談まとまり私達は車で10分ほどの海水浴場へでかけた。

私はこのナイスバディを黒の水着(高校生の時から使ってるなんの変哲もないやつ)で包み、背泳ぎの真似事などしていた。その時なんだか急に心臓の具合が悪くなってきたのだった。立つことも浮かぶことも出来ずに、

近くにいたT(ハズですね)に、陸(おか)の方を指差して「具合悪いからもう帰りたい、引っ張っていって!」と目と顔で言うのだけれど、なかなか通じず「せっかく来たんだからもっと楽しめば?」なんてトンチンカンなことを言うのだった。もっと楽しむヒマなんかないんだよ、こっちは、ブク、ブク、、、、。もう死ぬぅ。

やっとのことで妻の危機に気がついてくれてTはズルズルと私をひきずっていった。それはちょうど青木繁の絵にあるでしょう、男の人が大きな魚を引きずって歩いているのが。ちょうどあんな感じだったと思いますね。

潮(しお)が引いたところにくたっと横たわり、救急車を呼んでもらわなくてもいいかなー、だけどこんな格好でイヤだなー、まるで砂だらけのアザラシみたいじゃないの、病院には知り合いがいっぱいいるんだよー、、、なんてこと考えてた。あ、だれか背中になんかかけてくれたのね、ありがとね。でもまさかコモ(菰)じゃないよね。

いかほどの時間がたったのか、、、。ムッ、何者かがしのびよる気配あり、ジョーズか?! ガバと起き上がってみればなんと、はるか彼方まで引いていた潮がすぐそこまでひたひたと押し寄せてきていたのだった!ジョーズも怖いけれど音もなく寄せてくる水も背筋が凍る、というものである。

元気になったような気がしたので気付け薬にビールを飲んでみることに。なんだなんだこのビール、生ぬるいじゃないの、もっとキーンと冷たいビールはないのかえ?  もうすっかり元気になっていたなぎさでした。救急車で運ばれなくてよかった~~!!

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コメント

エ~、、、確かこんなタイトルの素敵なラブストーリーの映画あったかな~、ホント?
それとも、なぎささまとご主人様のう~んとお若き頃の熱い、否、暑つ~い思い出と期待したら、、、
ジョーズの映画に出てきても良さそうな一場面、 命拾いしましたね!
キ~ンと冷えたビールだったら、再び心臓がキーンと止まりかけたと思うよ。

投稿: ナベショー | 2006年7月30日 (日) 10時36分

もう、『潮騒』のようなときめきは無いのですか?。
心の動悸はいいけれど、心臓の動悸はいけませんね。

投稿: ばら色婆ァバ | 2006年7月30日 (日) 15時47分

ナベショーさま
ロマンティックな話でなくて、期待にそえず申し訳ありませんね!。
それまで、海で屈強な男性が亡くなるのはどういうわけか、わからないでおりましたが、やはりなにか異変がおきたのであろうと、思うようになりました。

投稿: なぎさ | 2006年7月30日 (日) 22時23分

ばーば様

『潮騒』って三島由紀夫の小説のことでしょうか。
夢見る乙女のころに戻って『潮騒』を読んでトキメキたいですねー。

今では生活に追われてトキメク余裕もありませぬ。

投稿: なぎさ | 2006年7月30日 (日) 22時27分

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